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ラブカ
Chlamydoselachus anguineus

和名 ラブカ (羅鱶)
英名 Frilled Shark , Lizard Shark , Scaffold Shark
学名 Chlamydoselachus anguineus (Garman, 1884)
カグラザメ目 (Hexanchiformes)
ラブカ科 (Chlamydoselachidae)
ラブカ属 (Chlamydoselachus)
保全状況 LC(Least Concern) - 低危険種

説明

ラブカは、カグラザメ目ラブカ科に属するサメの1種。外見からウナギザメ(鰻鮫)と呼ばれることもある。大西洋・太平洋の大陸斜面、水深500–1,000メートルの海底で生活するが、日本では駿河湾、相模湾などで浅海に上がってくる。
原始的なサメの特徴が見られることから生きている化石と呼ばれる。
鰓弁は大きくヒダ状になり、英名 frilled shark の由来ともなっている。

現生サメの中で最も古い系統の一つに属し、白亜紀後期(9500万年前)、また、おそらくジュラ紀後期(1億5000万年前)の化石が発見されている。
原始的なサメの特徴をよく残していることから「生きている化石」と呼ばれる。

別名… , Lizard Shark , Scaffold Shark

分布



水深:50m ~ 1500m
大西洋・太平洋全域から散発的に記録がある。
東大西洋ではノルウェー北方・スコットランド北方・アイルランド西方・フランスからモロッコ・マデイラ諸島・モーリタニア。
中央大西洋ではアゾレス諸島からブラジル南方のリオグランデ海膨までの大西洋中央海嶺上・西アフリカ沖のバビロフ海嶺。
西大西洋ではニューイングランド・ジョージア州・スリナム。
西太平洋では本州南東・台湾・ニューサウスウェールズ・タスマニア・ニュージーランド。
中央・東太平洋ではハワイ・カリフォルニア・チリ北部で確認されている。

日本での分布
相模湾や駿河湾で比較的多く見られる。
駿河湾では比較的浅い水深50–200メートルでよく見られる。

特徴

最大全長は雄165cm、雌196cm。体型は細長い円筒型。頭部は幅広くて平たく、短く丸い吻がある。
眼は比較的大きく楕円形。
非常に大きい口は普通のサメと異なって体前端に開く。

歯は合計で300本ほどで、個々は小さく、細い三尖頭をもち先は鋭くとがる。
鰓裂は6対で、鰓弁の後部が伸びてひだ状になる。
第一鰓裂は喉で繋がって襟状になっている。

胸鰭は短くて丸い。背鰭は1基で小さく、後縁は丸い。体後方の臀鰭上部に位置する。腹鰭・臀鰭は大きく、幅広くて丸く、体後方に位置する。尾鰭は非常に長く、下葉・欠刻がない。腹面には1対の厚い皮褶が走るが、その機能は不明である[9]。腹部は雄より雌の方が長く、腹鰭がより後方にある[11][12]。皮歯は小さく、鏨型である。尾鰭背面の皮歯は大きくて鋭い[9]。体色は暗褐色や灰色[2][10]。最大全長は雄で1.7メートル、雌で2.0メートルである[10]。

生態

数が少なく、比較的海の深い所に生息する種であるため、観察が難しく、詳しい生態はほとんどわかっていない。
基本的には海底付近で生活しているが、おそらく日周鉛直移動を行い、夜間には表層で摂餌すると考えられる。
動きは緩慢で、ウナギのように体を波打たせて遊泳する。遊泳速度は速くない。

顎は柔軟で非常に大きく開くことができ、全長の半分を超える獲物を飲み込むことができる。
だが、他のサメに比べあまり強く噛み付くことはできない。

自分よりも小柄なサメや硬骨魚類、頭足類などを捕食する。駿河湾では餌の60%がイカである。

蛇のように体をくねらせて獲物に食らいつくことができる。
鰓裂を閉じることで負圧を生み出し、獲物を吸い込んでいるとも考えられる。
口を開けたまま泳ぐことが分かっているが、これは白い歯と黒い口内の対比によって、疑似餌として機能するという仮説もある。

繁殖

無胎盤性胎生で、胎児は卵黄によって成長する。だが胎児間で体重が異なることがあり、母体からも何らかの形で栄養が供給されると考えられる。成体雌は2つの卵巣、1つの子宮(右側)が機能する。産仔数は平均6。
他のあらゆる脊椎動物より長い3.5年の妊娠期間を持つ。

出生時は全長40-60cm。
雄で全長97–117cm、雌で全長135–150cmで性成熟する。

利用

食用とされたり魚粉が利用されることもあり、主に日本では飼育施設で展示されることもある。
ただし、生体の展示は非常にまれで、あったとしてもごく短期間である。

出典



(最終更新 2021年03月09日)