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トガリアンコウザメ
Scoliodon laticaudus

和名 トガリアンコウザメ
英名 Spadenose Shark
学名 Scoliodon laticaudus (Müller & Henle, 1838)
メジロザメ目 (Carcharhiniformes)
メジロザメ科 (Carcharhinidae)
トガリアンコウザメ属 (Scoliodon)
保全状況 NT(Near Threatened) - 近危急種
By Müller & Henle - Systematische Beschreibung der Plagiostomen pl. 8, Public Domain, Link

説明

メジロザメ科に属するサメの一種。インド洋北部と東南アジアに豊富に生息する小さな沿岸性のサメ。 漁業で一般的に漁獲されているにもかかわらず、トガリアンコウザメの状態に関するデータは存在しない。

分布

沿岸


インド太平洋西部に分布し、タンザニアから南アジア・東南アジア・ジャワ島・ボルネオ島・台湾・日本などで見られる。深度10-13mの沿岸の岩礁底に生息する。マレーシア・スマトラ島・ボルネオ島の河川下流域からも報告がある。

日本での分布
南日本

特徴

体は小さくずんぐりしており、幅広い頭と非常に平たいシャベル型の吻を持つ。眼と鼻孔は小さい。口角は眼のかなり後方に至り、溝はあまりない。胸鰭は短くて幅広く、第一背鰭は胸鰭より腹鰭に近い。第二背鰭は臀鰭よりかなり小さく、背鰭間に隆起はない。背面はブロンズグレー、腹面は白。鰭の色は体より暗い。最大74cm。

生態

世代: 5 ~ 6年

個体数が多い所では、よく大きな揃った群れを作る。餌は主にアンチョビ・サイウオ科・ハゼ・テナガミズテングなどの小型硬骨魚。時折エビ・カニ・コウイカ・シャコなども食べる。条虫Ruhnkecestus latipi、回虫の幼生などの寄生虫が知られる。

繁殖

雌は年に一度繁殖する。妊娠期間は6か月で出生時は12-15cm。産仔数6-18。雄は24-36cm、雌は33-35cmで性成熟し、それに達するまでに6か月-2年かかると推定されている。

排卵時の卵は直径1mm程度で、直径3mm程度から栄養を母体に頼るようになる。胎盤との結合は卵黄嚢から形成され、特異な柱状構造とガス交換を行う毛細血管網・長い付属物を持つ。胎盤組織は"trophonematous cup"という構造物で子宮壁に接し、母体の血流から栄養が送りこまれる。これは魚類での胎盤性胎生として最も発達したものである。

利用

人には無害である。刺し網・延縄・底引き網・罠・トロール網・釣りなどで零細・商業漁業共に広く捕獲されている。肉は他魚の釣り餌として、鰭はふかひれとして、粗は魚粉として用いられる。また、肉を氷酢酸で処理し粉末状ゲルとすることで、サプリメント・生分解性フィルム、ソーセージの皮などにも用いられる。

重要種だが漁業統計データはない。1996年の報告では、中国市場で、また北オーストラリア漁業で見られる最も一般的なサメだった。インド・パキスタンでも大量に漁獲され、インドのある都市では1979-1981年にかけて年平均823t漁獲されていた。

出典



(最終更新 2021年03月06日)