トラザメ
Scyliorhinus torazame
和名 | トラザメ |
英名 | Torazame Catshark , Cloudy Catshark |
学名 | Scyliorhinus torazame (Tanaka, 1908) |
目 | メジロザメ目 (Carcharhiniformes) |
科 | トラザメ科 (Scyliorhinidae) |
属 | トラザメ属 (Scyliorhinus) |
保全状況 | LC(Least Concern) - 低危険種 |
By saname777 from Tokyo, Japan - Shin-Enoshima Aquarium(2008.8.23) - 183, CC BY 2.0, Link
説明
トラザメはトラザメ科に属するサメの一種。全長は最大78cm。底生。種小名 torazameは和名に由来する。人には無害で、飼育しやすいためモデル生物とされることもある。
国内でも多くの水族館で飼育されている。
別名… , Cloudy Catshark
分布
水深:0m ~ 320m
北西太平洋の日本・朝鮮半島・中国沿岸、おそらくフィリピンにも分布する。
底生で、岸辺から深度320mの大陸棚・上部大陸斜面まで分布する。岩礁域を好み、回遊は行わない。
日本での分布
日本海側の北陸より南、四国、九州
特徴
最大で50cmに達する。体は細いが、ある程度体高があって固い。頭部は細く、幅は長さの2/3程度。吻は短くて丸い。口は大きい。背面と体側は褐色で、6–10本の不明瞭で暗い鞍状の模様がある。腹面は黄色がかる。大型個体では、大きく不規則な白黒の斑点が多数出現する。
生態
世代: 12 ~ 0年餌は主に軟体動物で、甲殻類・硬骨魚がそれに続く。本種やその卵はナヌカザメに捕食される。
繁殖
卵生で、雌は片側の卵巣と、両側の輸卵管が機能する。クラスパーには特殊な構造があり、内縁に沿って百個近くの鈎が一列に並んでいる。この鈎は交尾中にクラスパーを固定するためのものだと考えられる。
雌は卵殻腺に数ヶ月にわたって精子を蓄えることができる。
雌は輸卵管1本につき1個、合計2個の卵を産む。
卵は滑らかで半透明、花瓶型をした黄色い卵鞘に包まれている。卵鞘は幅1.9cm・長さ5.5cmになる。卵鞘の四隅には長い巻きひげがある。卵は特定の成育場に産み付けられる。
孵化時の大きさは8cm以上。水温が低いほど成熟時の大きさが大きくなる傾向がある。
利用
人には危害を加えない。飼育環境にはよく適応し、水族館では飼育下繁殖も行われている。生理学におけるモデル生物として用いられることもよくある。1995年には増田元保らが、本種を用いて初めての板鰓類の人工授精に成功している。小型でおとなしいことから一般個人の家庭の水槽でのペットとしての飼育にも適している。
トロール漁・刺し網・底延縄などの底層商業漁業によって混獲される。混獲個体は一般には廃棄されるが、頑健であることから生存率は高いと考えられる。山口県の漁業で廃棄された魚類の40%が本種であったというデータがある。
出典
(最終更新 2021年03月09日)